ヒナコフスキーの表現定理

ソフィア=ヒナコフスカヤによる気まぐれ日記帳です

ブール代数入門(3)-ストーンの表現定理

本稿は以下の記事の続きとして, Boole代数における重要な結果であるStoneの表現定理を紹介する.

hinakovsky5.hatenablog.com

3. Stoneの表現定理

準同型写像準同型定理

Def.3.1(準同型写像)

 B, C をBoole代数とする.このとき,

  1.  H(x + y) = H(x) + H(y) ,

  2.  H(x \cdot y) = H(x) \cdot H(y) ,

  3.  H(\neg x) = \neg H(x)

を満たす写像 H : B \to C  B から C への準同型写像という.特に,  H : B \to C 全単射準同型写像であるとき,これを B から C への同型写像という.  B から C への同型写像が存在するとき,  B  C 同型であるといい,  B \cong C とかく.

代数学で群や環,或いはベクトル空間などを学んでいれば,準同型写像の意味は容易に理解できよう.準同型写像とは, Boole代数における加法,乗法,否定を保存する関数である.これは構造を保つという言い方もできる.また,同型とは, Boole代数の意味で同じ空間であることをいう.

Def.3.2(準同型写像の核)

 B, C をBoole代数,  H : B \to C 準同型写像とする.このとき,  \mathrm{Ker}(H) := \{ x \in B \ | \ H(x) = 0 \}  H という.

Def.3.3(対称差)

 B をBoole代数とする.このとき,  x \triangle y := (x \cdot \neg y) + (\neg x \cdot y) 対称差という.

対称差は,スイッチング代数 2 = \{ 0, 1 \} において通常,排他的論理和(Exclusive OR/XOR) \oplus と呼ばれる演算である.集合代数においては,主に測度論などで用いられる.

さて,準同型写像の基本的な性質を確認しよう.

Lem.3.4

 B, C をBoole代数,  H : B \to C 準同型写像とする.このとき,次が成り立つ.

  1.  H(0) = 0, \ H(1) = 1 .

  2.  x \leq y \rightarrow H(x) \leq H(y) .

  3.  H(x) = H(y) \leftrightarrow x \triangle y \in \mathrm{Ker}(H) .

Proof

(1)  H(0) = H(1 \cdot 0) = H(1) \cdot H(0) = \neg H(0) \cdot H(0) = 0 である.更に,  H(1) = H(1 + 0) = H(1) + H(0) = H(1) + \neg H(1) = 1 である.

(2)  x \leq y とする.このとき,  x + y = y である.  H(x) + H(y) = H(x + y) = H(y) なので,  H(x) \leq H(y) である.

(3)  H(x) = H(y) とする.  H(x \triangle y) = H( (x \cdot \neg y) + ( \neg x \cdot y) ) = ( H(x) \cdot \neg H(y) ) + (\neg H(x) \cdot H(y) ) = 0 なので,  x \triangle y \in \mathrm{Ker}(H) である.逆に,  x \triangle y \in \mathrm{Ker}(H) とすると,  ( H(x) \cdot \neg H(y) ) + ( \neg H(x) \cdot H(y) ) = H(x \triangle y) = 0 である.よって,  H(x) \cdot \neg H(y) = \neg H(x) \cdot H(y) = 0 である.これより,  H(x) \leq H(y) かつ H(y) \leq H(x) なので,  H(x) = H(y) である.  \square

次に,核の性質を見てみよう.

Lem.3.5

 B, C をBoole代数,  H : B \to C 準同型写像とする.

  1.  \mathrm{Ker}(H)  B イデアルである.

  2.  \{ x \in B \ | \ H(x) = 1 \}  B のフィルターである.

  3.  \mathrm{Im}(H) = 2 = \{ 0, 1 \} であることと,  \mathrm{Ker}(H) が素イデアルであることと,  \{ x \in B \ | \ H(x) = 1 \} が超フィルターであることは同値である.

Proof

(1) まず,イデアルの公理(1)を確かめよう. Lem.3.4(1)より,  0 \in \mathrm{Ker}(H), \ 1 \notin \mathrm{Ker}(H) である.次に,イデアルの公理(2)を確かめよう.  x \in B, \ y \in \mathrm{Ker}(H), \ x \leq y とすると,  H(x) = H(x \cdot y) = H(x) \cdot H(y) = H(x) \cdot 0 = 0 であるから,  x \in \mathrm{Ker}(H) である.最後に,イデアルの公理(3)を確かめよう.  x, y \in \mathrm{Ker}(H) をとると,  H(x + y) = H(x) + H(y) = 0 + 0 = 0 なので,  x + y \in \mathrm{Ker}(H) である.従って,  \mathrm{Ker}(H)  B イデアルである.

(2) (1)と双対的に証明できる.

(3)  \mathrm{Im}(H) = 2 とする.  x \in B とすると,  H(x) = 0 または H(x) = 1である.  H(x) = 0 のとき,  x \in \mathrm{Ker}(H) である.  H(x) = 1 のとき,   H(\neg x) = 0 なので,  \neg x \in \mathrm{Ker}(H) である.従って,  \mathrm{Ker}(H) は素イデアルである.逆に,  \mathrm{Ker}(H) は素イデアルであるとする. Lem.3.4(1)より,  0, 1 \in \mathrm{Im}(H) である.  y \in \mathrm{Im}(H) とすると,  y = H(x) なる x \in B がとれる.  x \in \mathrm{Ker}(H) のとき,  y = H(x) = 0 である.  \neg x \in \mathrm{Ker}(H) のとき,  y = H(x) = 1 である.従って,  y \in 2 である.超フィルターに関しても同様.  \square

イデアルがあれば,スイッチング代数 2 への自然な準同型写像が構成できる.

Thm.3.6

 B をBoole代数,  K \subset B を素イデアルとする.このとき,  \mathrm{Ker}(H) = K なる全射準同型写像 H : B \to 2 が存在する.

Proof

写像 H : B \to 2 を,  H(x) = 0 \leftrightarrow x \in K で定めればよい.このとき,  H : B \to 2 準同型写像で,   \mathrm{Ker}(H) = K なので, Lem.3.5(3)より H : B \to 2 全射準同型である.  \square

さて,ここまで準同型写像について説明した.ここから少し脇道に逸れて,準同型写像の基本定理ともいえる準同型定理を示そう.

Lem.3.7

 B, C をBoole代数,  H : B \to C  準同型写像,  I := \mathrm{Ker}(H) とする.このとき,  x \sim y \leftrightarrow x \triangle y \in I と定めると,  \sim  B 上の同値関係である.

Proof

Lem.3.4(3)を用いれば容易である.  \square

Lem.3.8

 B, C をBoole代数,  H : B \to C  準同型写像,  I := \mathrm{Ker}(H) とする.このとき,  x \sim z, \ y \sim w ならば x + y \sim z + w, \ x \cdot y \sim z \cdot w, \ \neg x \sim \neg z である.

Proof

 H(x) = H(z), \ H(y) = H(w) なので,  H(x + z) = H(x) + H(z) = H(y) + H(w) = H(y + z) である.他も同様に示せる.  \square

Def.3.9

 B, C をBoole代数,  H : B \to C  準同型写像,  I := \mathrm{Ker}(H) とする.このとき,  B  I で割った商集合を B/I := B/\sim で定める.  x \in B の同値類を [ x ] := \{ y \in B \ | \ x \sim y \} とかく.  B/I 上の加法を [ x ] + [ y ] := [ x + y ] で,乗法を[ x ] \cdot [ y ] := [ x \cdot y ] で,否定を \neg [ x ] := [ \neg x ] で定めるとき,  B/I はBoole代数である.これを B  I による商Boole代数という.  \pi : B \to B/I  \pi(x) := [ x ] で定めると,  \pi 準同型写像である.これを自然な準同型写像という.

以上の準備の下,準同型定理が証明できる.

Thm.3.10(準同型定理)

 B, C をBoole代数,  H : B \to C  準同型写像,  I := \mathrm{Ker}(H) とする.このとき,単射準同型 G : B/I \to C が一意に存在して,  G \circ \pi = H を満たす.特に,  H : B \to C 全射なら,  G : B/I \to C は同型写像で,  B/I \cong C である.

Proof

写像 G : B/I \to C を,  G([ x ]) = H(x) で定める.これがwell-definedであることは \sim の性質からわかる.そしてこの定め方から G \circ \pi = H も直ちに従う.この G 単射準同型であることを示そう.まず,  H(x) = H(y) とすると,  x \sim y なので,  [ x ] = [ y ] である.従って,  G 単射である.また,  G([ x ] + [ y ]) = G([ x + y ]) = H(x + y) = H(x) + H(y) = G([ x ]) + G([ y ]) である.同様に,  G([ x ] \cdot [ y ]) = G([ x ]) \cdot G([ y ]), \ G(\neg [ x ]) = \neg G([ x ]) であるから,  G は準同型である.さらに,  G' : B/I \to C をもうひとつの単射準同型とすると,  G([ x ]) = H(x) = (G' \circ \pi)(x) = G'([ x ]) であるから,このような G は一意である.若し H : B \to C 全射なら,  y \in C をとると y = H(x) なる x \in B がとれるので,  G([ x ]) = H(x) = y となるから,  G : B/I \to C 全射,特に同型写像である.  \square

次の系は,スイッチング代数 2 に同型なBoole代数の条件を示す.

Cor.3.11

 B をBoole代数,  K \subset B を素イデアルとする.このとき,  \mathrm{Ker}(H) = K なる全射準同型写像 H : B \to 2 が存在して,  B/K \cong 2 である.

Proof

Thm.3.6と準同型定理3.10より,  B/K \cong 2 である.  \square

Stoneの表現定理

さて,話題をStoneの表現定理に戻そう.以後,学部2年次程度の位相空間論の知識を前提に議論を進めるが,あまり馴染みのない位相空間論の用語の確認をしておこう.

Def.3.12(0次元空間)

 X を空でない T_1 空間とする.  \mathrm{clop}(X)  X の開閉集合全体の族とする(Ex.1.14参照).このとき,  \mathrm{clop}(X)  X の開基であるとき,  X  0 次元であるという.

Lem.3.13(連結成分とquasi-componentの関係)

 X 位相空間,  x \in X とする.このとき,  x の連結成分を C(x) ,  x quasi-component Q(x) := \bigcap \{ A \subset X \ | \ x \in A, \ \text{$ A $ : clopen in X} \} とするとき,  C(x) \subset Q(x) である.特に,  X がコンパクトHausdorff空間のとき,  C(x) = Q(x) を満たす.

Proof

 X 位相空間,  x \in X とする.

(1)  y \in C(x) をとり,  A  x を含む X の開閉集合とする.このとき,  C(x) \cap A  C(x) \setminus A  A 閉集合の分割で,  x \in C(x) \cap A だから,  C(x) は連結なので C(x) \setminus A = \emptyset でなくてはならない.よって,  C(x) \subset A である.故に,  y \in A であるから,  y \in Q(x) である.

 X をコンパクトHausdorff空間とする.

(2)  Q(x) が連結であることを示せばよい.  Q(x) は連結でないと仮定すると,  Q(x)  Q(x) の空でない閉集合の分割 Y, Z がとれる.いま,  x \in Y としてよい.このとき,  Q(x)  X 閉集合なので,  Y, Z  X 閉集合である.  X は正規なので,  Y \subset U, \ Z \subset V, \ U \cap V = \emptyset なる X の開集合 U, V がとれる.更に,  X はコンパクトで,  Q(x) \subset U \cup V であり,  Q(x)  X 閉集合からなる族であることに注意すると,  X \setminus (U \cup V) \subset \bigcup_{i=1}^n (X \setminus F_i) なる X  x を含む開閉集合 F_1, \cdots, F_n がとれる.よって,  \bigcap_{i=1}^n F_i \subset U \cup V である.  F := \bigcap_{i=1}^n F_i とおく.今,  F \subset U \cup V なので,  \overline{U \cap F} \subset \overline{U} \cap F = \overline{U} \cap (U \cup V) \cap F = U \cap F を満たす.従って,  U \cap F  X の開閉集合である.  x \in U \cap F より,  Q(x) \subset U \cap F であり,  Z \subset Q(x) \subset U \cap F \subset U である.従って,  \emptyset \neq Z \subset U \cap V となってしまい,矛盾する.以上より,  Q(x) は連結である.故に,  Q(x) \subset C(x) である.  \square

Def.3.14(Stone空間)

 0 次元コンパクトHausdorff空間をStone空間という.

Stone空間の基本的な性質として,次が成り立つ.

Thm.3.15(Stone空間の特徴付け)

コンパクトHausdorff空間がStone空間であることと,完全不連結であることは同値である.

Proof

 X をコンパクトHausdorff空間とする.

(1)  X がStone空間であるとする.  x \in X をとる.  C(x)  x の連結成分とするとき,  C(x) = \{ x \} を示せばよい.  y \in C(x) をとり,  y \neq x とする.このとき,  x, y \in A \subset X なる連結集合 A がとれる.  X  0 次元で,  \{ x \}  X 閉集合なので,  y \in U \subset X \setminus \{ x \} なる X の開閉集合 U がとれる.よって,  A \setminus U  A \cap U  A の空でない開集合からなる分割であるが,これは A が連結であることに矛盾する.従って,  C(x) = \{ x \} である.

(2)  X が完全不連結であるとする.  x \in X  x \in G なる X の開集合 G をとる.  A := X \setminus G とおく.このとき,  x \notin A かつ A  X 閉集合なので,  W \cap A = \emptyset なる x の開近傍 W がとれる.よって,  X はコンパクトなので,  x \in W \subset G かつ \overline{W} はコンパクトである.今, Lem.3.13より Q(x) = C(x) = \{ x \} \subset W だから, Lem.3.13の証明と同様にして,  x \in \bigcap_{i=1}^{n} F_i \subset W \subset G なる X の開閉集合 F_1, \cdots, F_n がとれる.  U := \bigcap_{i=1}^{n} F_i とおく.  U  X の開閉集合で,  x \in U \subset G を満たすので,  X  0 次元である.  \square

Ex.3.16

Thm.3.15より, Cantor集合はStone空間である.

さて,目標の定理は次のように述べられる.

Thm.3.17(Stoneの表現定理)

任意のBoole代数 B に対し,あるStone空間 X が存在して,  B \cong \mathrm{clop}(X) を満たす.

Stoneの表現定理は「Boole代数はあるStone空間の集合代数に埋め込める」と主張できる.特に,「Boole代数はある集合代数に埋め込める」ともいえる.その意味で, Boole代数は集合代数と同様の操作が可能になる.集合代数は数学を取り扱う人にとっては良く知る世界であり, Stoneの表現定理は一般の(よくわからない/複雑なものも含めて)Boole代数と集合代数との間に架け橋を作る. Boole代数を調べるのであれば,集合代数を調べればよいことになる.線形代数には表現行列という概念があるが,これに似たような話である.

Stoneの表現行列の証明はこれまでの定理の証明に比べるとずっと長く,煩雑なものであるが,素直に証明できるので,ここまでの内容と位相空間論をしっかりと把握している人であれば理解するのは決して困難ではないはずだ.

Proof

 \mathcal{U}  B の超フィルター全体の族とし,写像 H : B \to \mathcal{P} ( \mathcal{U} )

 H(a) := \{ F \in \mathcal{U} \ | \ a \in F \}

で定める.

 H : B \to \mathrm{Im}(H) 全単射であること

 a, b \in B に対して,  a \neq b とすると,反対称律から a \not \leq b としてよい.このとき,  a \cdot \neg b \neq 0 である.よって,  X := \{ a, \neg b \} とおき,  X で生成されるフィルター F_0 := X \uparrow を考えると,超フィルター定理より,  F_0 を含む超フィルター F がとれる.よって,  a \in F だが b \notin F なので,  F \in H(a) かつ F \notin H(b) である.故に,  H(a) \neq H(b) である.従って,  H : B \to \mathrm{Im}(H) 全単射である.

 \mathrm{Im}(H) がBoole代数をなし,  H : B \to \mathrm{Im}(H) 準同型写像であること

いま,  \mathcal{P} ( \mathcal{U} ) は自然に  \mathcal{U} 上の集合代数とみなせる.そこで,  \mathrm{Im}(H) がBoole代数をなし,  H 準同型写像であることを示す.まず,定義から H(0) = \emptyset  H(1) = \mathcal{U} がわかる.  a, b \in B  F \in \mathcal{U} をとる.  F は超フィルターであることに注意すると, Lem.2.7(1)より \neg a \in F \leftrightarrow a \notin F なので,  H(\neg a) = \mathcal{U} \setminus H(a) である. Lem.2.7(2)より,  H(a + b) = H(a) \cup H(b) である.最後に,フィルターの定義から H(a \cdot b) = H(a) \cap H(b) である.故に,  \mathrm{Im}(H) はBoole代数で,  H : B \to \mathrm{Im}(H) 準同型写像である.特に,  H : B \to \mathrm{Im}(H) は同型写像である.

 \mathcal{U} に位相を入れよう.その為に,  \mathrm{Im}(H) が開基の公理を満たすことを示せばよい.まず,  F \in \mathcal{U} に対し,  1 \in F なので,  F \in H(1) である.よって,  \mathrm{Im}(H)  \mathcal{U} を被覆する.次に,  a, b \in B をとり,  F \in H(a) \cap H(b) とすると,  H 準同型写像なので,  F \in H(a \cdot b) である.よって,  \mathrm{Im}(H) は開基の公理を満たす.  \mathrm{Im}(H) から生成される位相を \mathcal{T}( \mathrm{Im}(H) ) とおく.

位相空間 (\mathcal{U}, \mathcal{T}( \mathrm{Im}(H) ) が求めるStone空間であることを示せばよい.以後,位相空間 (\mathcal{U}, \mathcal{T}( \mathrm{Im}(H) ) を単に \mathcal{U} と表す.

 \mathcal{U} はHausdorff空間であること

 F, G \in \mathcal{U} をとり,  F \neq G とする.  a \in F \setminus G がとれるとしてよい.このとき,  \neg a \in G なので,  F \in H(a), \ G \in H(\neg a) である.よって,  H(a) \cap H(\neg a) = \emptyset だから,  F, G  \mathcal{U} の開集合 H(a), H(\neg a) によって分離される.故に,  \mathcal{U} はHausdorffである.

 \mathcal{U}  0 次元空間である,特に H(a) \ (a \in B )  \mathcal{U} の開閉集合であること

 H(\neg a) = \mathcal{U} \setminus H(a) なので,  H(a)  \mathcal{U} の開閉集合である.よって,  \mathrm{Im}(H) の元は開閉集合である.  \mathrm{Im}(H)  \mathcal{U} の開基であった.従って,  \mathcal{U}  0 次元空間である.

 \mathcal{U} はコンパクトであること

 \mathcal{U} 閉集合 \{ H(a) \ | \ a \in T \} が有限交叉性をもつとする.  T の有限個の元 a_1, \cdots, a_n に対し,有限交叉性から \emptyset \neq H(a_1) \cap \cdots \cap H(a_n) = H(a_1 \cdots a_n) である.よって,  a_1 \cdots a_n \neq 0 である.よって,超フィルター定理より,  T から生成されるフィルター F_0 を含む超フィルター F \in \mathcal{U} がとれる.よって,  T \subset F だから,  F \in \bigcap_{a \in T} H(a) である.従って,  \mathcal{U} はコンパクトである.

以上により,  \mathcal{U} はStone空間であることが示せた.  B \cong \mathrm{Im}(H) かつ \mathrm{Im}(H)  \mathcal{U} の開閉集合からなるので,次を示せばよい.

 \mathrm{clop}(\mathcal{U}) = \mathrm{Im}(H) であること

 X  \mathcal{U} の開閉集合とする.  \mathcal{U} はコンパクトで X  \mathcal{U} 閉集合なので,  X はコンパクトである.  X  \mathcal{U} の開集合なので,  \mathrm{Im}(H)  \mathcal{U} の開基より,  X = \bigcup_{a \in T} H(a) なる T \subset B がとれる.よって,  X はコンパクトだから,  X = \bigcup_{i=1}^{n} H(a_i) なる a_1, \cdots, a_n \in T がとれる.以上より,  X =  \bigcup_{i=1}^{n} H(a_i) = H(a_1 + \cdots + a_n) \in \mathrm{Im}(H) である.故に,  \mathrm{clop}(\mathcal{U}) = \mathrm{Im}(H) である.  \square

参考文献